Project

ミズベリングプロジェクト

全国の水辺利活用を推進し、ムーブメント化するソーシャルデザイン支援業務

クライアント：　国土交通省水管理国土保全局（元請け：博報堂）

年度：　2013〜継続中

業務分類：　戦略策定、事務局業務、全国ミズベリング会議展開支援、Web編集・コンテンツ作成、ミズベリング・ビジョンブック制作、シンポジウム・イベント企画運営、ワークショップ支援、社会実験企画運営、アドバイザーボード運営国土交通省水管理・国土保全局では2013年に「水辺とまちのソーシャルデザイン懇談会」を創設。①まちにある川や水辺空間の賢い利用、②民間企業などの民間活力の積極的な参画、③市民や企業を巻き込んだソーシャルデザインの3つを基本コンセプトに掲げ、水辺とまちの未来を創造していくための取り組みを推進している。

概要：　ミズベリングの活動内容として、地域の水辺の未来を自由に語る全国展開のご当地ミズベリング会議の開催、各地の水辺の社会実験や現場活動のサポート、ウエブサイトやSNSでの先進事例・地域の取り組みの紹介、水辺を共に良くしていこうという人びとが肩書を外して、知見を共有・交流できるイベントの開催などである。その結果、ミズベリングは全国に波及し、官民の垣根を越え、自分事として水辺とまちの未来に取り組もうという人びとによる活動が多数生まれた。具体的には、約70カ所以上でのミズベリング地方会議の開催、20社以上の民間企業による水辺利活用の取り組み、水辺を政策に取り込んだ自治体の増加、水辺を舞台にした社会実験やイベントの急増、ミズベリングfacebookページの「いいね！」数の増加（6039人、20年12月9日時点）などが挙げられる。また、2018年にはグッドデザイン賞金賞を受賞した。弊社の岩本、滝澤はミズベリング創設時より事務局ディレクターとして参与し、プロジェクトの企画・推進を担っている。
ミズベリング・プロジェクトでは、水辺とまちの未来に主体的に取り組む人を増やすためにソーシャルデザインの戦略を持っている。ソーシャルデザインには、「社会的な課題の解決と同時に新たな価値を創出する画期的仕組みをつくること」1)、「人聞の持つ『創造」の力で、社会が抱える複雑な課題の解決に挑む活動」2)などの定義がある。社会問題を新たな価値創出により解決することといえる。ミズベリングが始まった当初は、水辺に関心を持つ人びとが少なく、水辺空間において親水護岸などを整備したものの誰にも使われない水辺が結果として多数見られた。この課題を解決するために、一般の水辺への関心を高め、自由な視点や様々な発想で水辺に関することを考え、発言してもいいという空気感をつくり出すことに注力した。その手法として生み出したのが、前述の「ミズベリング会議」や、「水辺で乾杯」という参加手法だ。ミズベリング会議は、自治体や民間企業、市民など様々な主体が、何かを決めるのでなく多様な人びとと話し合あう機会として活用されている。また、各地の水辺での社会実験的プロジェクトを応援し、とりあえず「まずやってみる姿勢」を賞賛し評価を重ねていく手法を推奨した。水辺ばかりでなく、道路、緑地などの公共空間の利活用全般にミズベリング的手法は参照されている。2020年以降は、オンラインでの人材育成スクール「公共越境力養成塾”カワレル”」の企画運営を行い、全国の行政マン、民間、市民の人材育成に注力している。
1) グリーンズ「ソーシャルデザイン」朝日出版社、2012
2) 寛裕介「ソーシャルデザイン実践ガイド」英治出版、2013